実質CO2フリーの電気プランがある新電力

家庭におけるCO2(二酸化炭素)排出力削減の取り組みで、手軽にできるのが電気の利用先を乗り換えることです。

2016年4月に電力小売りが自由化されており、新規に参入した電力小売り事業者「新電力」の中から自分の条件に合ったところを選べるようになっています。

新電力の中には太陽光や風力といった再生可能エネルギー由来の電気が使えるところやCO2排出量が実質0にできるところがあります。

CO2排出量がゼロの電気とは、電力事業者が契約者に販売する電気の分だけ非化石証書などの環境価値を購入して電気とセットにすることで実質的に排出量がゼロになるというものです。

脱炭素社会に向けてCO2排出量削減に何か貢献したいと思っている人や太陽光や風力といった再生可能エネルギーの拡大を応援したい人にも向いています。

ここでは二酸化炭素の排出量が実質ゼロの電気が使える新電力を4つ紹介します。

 

コスモでんき

コスモでんきは、コスモ石油マーティング株式会社が運営する新電力です。

こちらの電力プラン「コスモでんきグリーン」は、販売する電気に非化石証書を組み合わせることで、実質的に再生可能エネルギー比率100%、CO2排出量ゼロの電気を実現しています。

サービス提供エリア

北海道電力エリア
東北電力エリア
東京電力エリア
中部電力エリア
北陸電力エリア
関西電力エリア
中国電力エリア
四国電力エリア
九州電力エリア

アンペア数があるエリアでは契約できるのは30A以上です。

 

電源構成

2020年度での電源構成は以下のようになっています。

石炭 6.9%
LNG 10.7%
石油 0.7%

再生可能エネルギー 1.4%
FIT電気(太陽光・バイオマス) 10.1%

卸電力取引所 53%

その他 17.1%

水力 0.3%

FIT電気は再生可能エネルギーで発電された電気なんですが、制度上はCO2排出量のある電気として扱われ、FIT電気以外の再生可能エネルギー由来の電気と区別されます。

なぜなら、FIT電気は固定価格買取制度(FIT法)によって国が定めた価格で電気事業者が買い取ることを義務づけられており、その買取費用は再生可能エネルギー由来ではない電気を使っている人を含めて全ての電気利用者が負担している再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)で賄われているからです。
今使っている電気の利用明細を見れば再エネ賦課金の項目があるはずです。

ややこしいですが、FIT電気は別途購入された「非化石証書」を組み合わせることでCO2排出のない電気として扱うことできるようになります。非化石証書とは化石燃料以外の方法で発電する際にCO2が排出が無いという非化石価値を証書化したものです。

コスモでんきの料金

料金体系や単価は各地域の大手電力会社(送配電事業者)と同じなので、大手電力からの乗り換えの場合電気料金が高くなることはありません。

さらに、契約アンペア数や使用量によって割引があるため、使用量によってはこれまでより少し電気料金を安くできます。

一例として、東京電力エリアの従量電灯Bでアンペア数が50A、電力使用量が500kWhの場合、毎月870円割引されるため年間で10,440円お得になります。

毎月550kWhほど使っている家庭なら年間4,200円お得になります。

 

電気自動車のユーザーはさらに割引

「EV特別割」というのがあり、EV・PHEV・FCVのユーザーがコスモでんきグリーンを契約すると月々の電気料金が500円割引されます。
2020年12月21日以降に新車新規登録又は新車新規検査届出を出していることが条件です。

これから電気自動車を購入予定の人は、経済産業省によるCEV(クリーンエネルギー自動車)導入促進補助金が利用できます。

 

支払い方法

クレジットカードか口座振替での支払いができます。

 

エコ活動に参加できる

コスモでんきグリーンを契約すると、コスモ石油マーケティング(株)が契約者一人当たり年間500円をエコ活動に寄付します。

海外では熱帯雨林の保全やマングローブの植林、国内では海岸林の再生・里山保全などのプロジェクトに支援をしています。

 

契約期間

契約期間は1年間の自動更新です。
解約金などはないため、いつでも無料で解約できます。

 

コスモでんきのまとめ

コスモ石油のグループ会社が運営する新電力です。

電力プラン「コスモでんきグリーン」では、再生可能エネルギー由来の非化石証書を組み合わせているため、実質再生可能エネルギー100%、CO2排出量ゼロの電気を利用できます。

地域の電力会社と同じ料金体系・単価ですが、使用量ごとに割引があるため少し安くできます。

EVのユーザーは条件を満たせば毎月500円の割引を受けられます。

運営会社が契約者一人あたり毎年500円をエコ活動に寄付をするため、コスモでんきグリーンを利用するだけで間接的に環境保全活動を支援できます。

公式サイト⇒コスモでんき

 

Looopでんき

Looopでんき(ループでんき)は、東日本大震災の被災地に太陽光発電セットを設置するボランティア活動がきっかけで設立された会社です。

基本料金は0円で、固定式の従量料金単価と卸電力市場の価格に連動した従量料金単価に電力使用量をかけて料金が決まります。

2021年4月からオプションメニューで環境価値サービス「eneco(エネコ)」が利用できるようになっており、これはLooopでんきに非化石証書を組み合わせられるものです。利用者はenecoを追加することで実質的に再生可能エネルギーやCO2排出量ゼロとみなした電気を利用できます。

サービス提供エリア

北海道電力エリア
東北電力エリア
東京電力エリア
中部電力エリア
北陸電力エリア
関西電力エリア
中国電力エリア
四国電力エリア
九州電力エリア
沖縄電力エリア
※離島を除く

電源構成

2020年度実績での電気構成は以下の通りです。

石炭火力 8%
LNG火力 8%
石油火力 25%

 

FIT電気 25%
再生可能エネルギー 1%

卸電力取引所 41%

その他 17%

FIT電気と再生可能エネルギーを合わせて26%となっています。

 

Looopでんきの料金

基本料金は0円です。

従量料金は下記の2種類あります。

固定単価の従量制料×使用量
30ごとの市場価格連動単価×30ごとの電力使用量

これに再エネ賦課金が別途加わります。

卸電力市場(JEPX)の価格の上下によって電気料金が変動する点は理解しておきましょう。

 

料金プラン

家庭向けの「スマートタイムONE」の固定従量料金の単価はエリアごとに以下のようになっています。

エリア 従量料金 単価(kWhあたり)
北海道 15.41円
東北 16.04円
東京 15.11円
中部 15.60円
北陸 14.05円
関西 14.15円
中国 14.68円
四国 15.08円
九州 14.82円
沖縄 16.66円

でんき料金は、これに市場連動の従量料金が加算されます。

環境価値サービス「eneco(エネコ)

購入する電気に非化石証書を組み合わせられるオプションメニューです。

Looopでんきのユーザーはマイページからenecoを申し込めます。

enecoのプランは下記の2種類です。

プラン名 料金単価(kWhあたり)
(2022年度)
eneco RE100% 0.51円
eneco RE50% 0.26円

eneco RE100%なら実質CO2ゼロだけでなく実質再生可能エネルギーの電気が使うことができます。
再エネ100%の電気にできるのは、無料のトラッキングを付けることでLooopが購入した非化石証書の由来となった発電所を明らかにできるためです。

企業がeneco RE 100%を利用すれば、国際イニシアチブのRE100やCDP、SBTなどへ適用できます。
また、温対法での排出係数の報告に利用でき、CSR報告書でのCO2排出削減量の明示ができます。

支払い方法

クレジットカードのみです。

契約期間

1年契約の自動更新で中途解約しても解約金はありません。
止めたくなったらいつでも無料で解約できます。

Looopでんきのまとめ

料金は卸電力市場の価格に連動する点には注意が必要ですが、環境価値サービス「eneco」は再生可能エネルギーやCO2排出量という点からも注目の新電力となっています。

CO2排出量ゼロだけでなく再生可能エネルギーにもこだわる人にはeneco RE100%が最適です。

公式サイト⇒Looopでんき

(一時的に新規受付を停止している場合があります。)

 

まちエネ(新規受付は停止中)

まちエネは、三菱商事とローソンが出資母体のMCリテールエナジーが提供する新電力です。
電力小売りが自由化された2016年4月からサービスを開始しており、一般家庭はもちろんローソンの店舗を含む法人ユーザーへも数多くの提供実績があります。

CO2ゼロのプランは2つあり、深夜にEVやPHEVの電気を充電し放題のプランもあります。

サービス提供エリア

東北電力エリア
東京電力エリア
中部電力エリア
関西電力エリア
中国電力エリア
四国電力エリア
(離島を除く)

電源構成

2020年度での電源構成は以下のようになっています。

LNG火力 30%
石炭火力 6%
石油火力 18%

 

FIT電気 3%
再生可能エネルギー 2%

卸電力取引所 29%

その他 11%

FIT電気と再生可能エネルギーを合わせると5%です。

まちエネの料金

非化石証書をセットにすることで実質CO2ゼロになる電気のプランは2つあります。

①CO2フリープラン

地域の電力会社(送配電事業者)のエリアの契約種別と同じ単価なので、地域の電力会社から乗り換える場合は電気料金は今まで通りです。

また、ユナイテッド・シネマやシネプレックスの映画券がいつでも1,300円で買える特典が付くので、これらをよく利用する人にお得です。

②毎晩充電し放題!CO2フリープラン

午前1時~5時の電気使用量は、実際の使用量にかかわらず、まちエネ利用者の電気使用量実績から契約容量や使用月に応じて設定した規定値を使用量とみなされます。

つまり、この時間帯はどれだけ電気を使っても家庭での想定電気使用量のみの負担で済むため、定額でEVやPHEVを充電し放題となるのです。

料金は地域の電力会社と同じ単価で計算し、これに非化石証書相当分料金(使用量×非化石価値単価1.34円/kWh)を上乗せした金額になります。

このプランをうまく使えば、これまでの電気料金に上乗せされる非化石証書相当分の料金でEVやPHEVの電気代をまかなうことが可能です。

支払い方法

クレジットカードのほか口座振替でも支払えます。
デビットカードやプリペイドカードは一部利用できないものがあります。

契約期間

契約期間はなく原則解約金はありません。
ただし、契約から1年以内に解約すると、まちエネが地域の電力会社から工事費などの精算を求められた場合は、利用者に該当費用が請求されることがあります。

家の電力計が既にスマートメーターになっていれば工事は不要で、まだアナログメーターの場合にはスマートメーターに取り換える工事が必要になります。
この取り換え工事費は無料ですが、設置場所によっては追加の工事が必要になることがあるため、この部分の費用だと考えられます。

まちエネを1年以上利用する場合や既にスマートメーターになっている場合は問題有りません。

まちエネのまとめ

運営元は大手企業が出資しているため安心感が持てます。

現時点では北海道、北陸、九州、沖縄エリアでは提供されていませんが、今後対応するかもしれないので興味のある方は公式サイトを確認してください。

CO2フリープランは、これまで利用していた地域の電力会社と同じ料金で使えます。

毎晩充電し放題!CO2フリープランは、定額料金に非化石価値分を上乗せした料金で使えるので、EVやPHEVを持っている人にお得です。

支払い方法は口座振替にも対応しているのでクレジットカードを持ってない人でも利用できます。

公式サイトはこちら⇒まちエネ

(新規受付を停止している場合があります。)

 

自然でんき

自然でんきは、SoftBankによる新電力「ソフトバンクでんき」が提供している電気プランです。

ソフトバンクグループは東日本大震災が発生した2011年以降から自然エネルギー事業に取り組んでおり、子会社のSBエナジーが太陽光発電や風力発電事業を行っています。

自然でんきでは、販売する電気に非化石証書を組み合わせることで、再生可能エネルギー比率実質100%、CO2排出量実質ゼロの電気を実現しています。

基本料金が0円なのも特徴です。

 

サービス提供エリア

東北電力エリア
東京電力エリア
中部電力エリア
関西電力エリア
中国電力エリア
四国電力エリア
九州電力エリア

電源構成

2020年度での電源構成は以下のようになっています。

FIT電気 50%

 

卸電力取引所 50%

FIT電気と卸電力取引所で半々となっており、FIT電気の比率はわりと高いです。

自然でんきの料金

基本料金は0円なので、使用量に応じた従量料金で月々の電気料金が決まります。

エリア 従量料金 単価(kWhあたり)
北海道 31.57円
東北 27.50円
東京 26.48円
中部 27.50円
関西 23.42円
中国 25.46円
四国 25.46円
九州 24.44円

 

支払い方法

クレジットカード、口座振替、振込用紙での支払いができます。

契約期間

契約期間は1年間の自動更新です。
自然でんきでは、解約時の手数料や違約金はありません。

自然でんきのまとめ

運営元は携帯キャリアのSoftBankです。

基本料金が0円、従量料金のみで電気代が決まるためわかりやすいです。

非化石証書を組み合わせているため、実質再生可能エネルギー比率100%、CO2排出量ゼロの電気を利用できます。

以前、エネチェンジというサイトで自然でんきのキャンペーンをやっていたことがあります。

現在はどうなのか確認してください⇒エネチェンジ